動画コンテンツなどの著作物が違法ダウンロードされた場合、著作権を侵害された権利者が侵害者（発信者）に対して損害賠償を請求するためには、発信者情報を入手して個人を特定することが必要となります。

権利者は権利侵害に使用されたIPアドレス（ネット上の住所のようなもの）を突き止めることはできますが、そのIPアドレスの使用者が誰かはわかりません。よって、侵害者を特定するには、IPアドレスを提供しているインターネットプロバイダーに対し、侵害者の個人情報を開示させる必要があります。

著作権者が侵害者の個人情報の開示を求めるには、プロバイダ責任制限法に規定されている「発信者情報開示請求」手続きによるのが一般的です。これは、著作権者がインターネットプロバイダーに対し訴訟外で発信者情報の開示を請求できる手続きです。

ビットトレントを用いた著作物の違法アップロードで著作権を侵害された著作権者は、「発信者情報開示請求」によって、インターネットプロバイダーに対し、侵害者の個人情報を開示するよう求めることができます。

開示請求を受けたインターネットプロバイダーは、権利侵害に用いられたＩＰアドレスを使用していた契約者に、情報開示に同意するか否かの意見を照会します。この照会の書類が「発信者情報開示請求に係る照会書」です。

ビットトレントを用いた著作物の違法アップロードで著作権を侵害された著作権者はインターネットプロバイダーに対して、訴訟外で発信者情報開示請求をすることができます。

また、著作権者は裁判所において「発信者情報開示請求訴訟」「発信者情報開示命令申立」といった法的手続きをすることも可能です。これらの法的手続きは著作権者が原告・申立人となり、インターネットプロバイダーを相手どって行いますので、発信者（ネット回線の使用者）が法的手続きの当事者となっているわけではありません。

「発信者情報開示請求訴訟」や「発信者情報開示命令申立」をされたインターネットプロバイダーは、開示請求を認めて情報開示をしてよいか発信者（ネット回線の使用者）に意見を照会します。この照会の書類が「発信者情報開示請求に係る照会書」です。

「発信者情報開示請求訴訟」「発信者情報開示命令申立」によって発信者情報の開示を請求されているため、その根拠資料として訴状が同封されています。

ビットトレントのようなＰ２Ｐソフトウェアを用いて動画コンテンツ等のファイルをダウンロードすると、ソフトウェアがダウンロードしたファイルの一部を自動的にネットワークにアップロードします。よって、ビットトレントを使用して他人の著作物を違法ダウンロードすると、ご自身が意図してアップロードをしていなくとも、著作権者等が有している公衆送信権等を侵害することになります。

動画コンテンツの制作者をはじめとする著作権者は、専門家に依頼して定期的にビットトレントネットワークを監視しています。そして、自社の動画コンテンツの違法アップロードを発見した場合、アップロードしたピアのＩＰアドレスを記録しています。

そのIPアドレスの使用者が誰かはわかりませんので、IPアドレスを提供しているインターネットプロバイダーに対し、発信者情報開示請求を行い、侵害者を特定する必要があります。

発信者情報を開示する、しないは、ご自身の判断で決めるべき事柄です。開示に不同意だからという理由だけで罰せられることはありません。

ただし、著作権侵害をしていた場合は、民事上、刑事上の制裁の対象となることがあります。

発信者情報の開示に同意した場合、インターネットプロバイダーは著作権者に対してあなたの発信者情報（住所、氏名など）を開示します。

著作権者は発信者に対して、損害賠償金の支払いを求めてきます。具体的には、あなたのご自宅に損害賠償金の支払いを求める書簡が届くことになるでしょう。

基本的にはプロバイダがあなたに無断で情報開示することはありません。プロバイダは契約者（顧客）である発信者に対して善管注意義務を負っていますので、契約者に同意なく情報開示をするとその義務を果たしていないことになりかねないからです。

また、契約者が理由を付して開示に同意をしなかった場合、プロバイダ責任制限法で情報開示が認められる要件のひとつである「開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らか」とはいえなくなってしまいますので、開示の要件を満たしません。

発信者が情報開示に同意せず、プロバイダが著作権者に情報開示をしない場合、次に著作権者はプロバイダを相手として、裁判所において「発信者情報開示請求訴訟」や「発信者情報開示命令申立」といった法的手続きを行い、発信者情報の開示を求めることができます。

ビットトレントを用いた著作権侵害を理由とした法的手続きにおいて発信者情報開示が認められなかった（インターネットプロバイダーが勝訴した）事案は数えるほどしかなく、裁判所から発信者情報開示命令がされることがほとんどです。

したがって、著作権者が法的手続きをすると結局は情報開示されてしまう可能性が高いです。

インターネットプロバイダーが、契約者の同意がないにもかかわらず、その個人情報を開示することは基本的にはありません。しかし、著作権者は法的な手続きによって、裁判所に発信者情報開示を命令するよう求めることができます。

よって、意見照会書を無視しても、発信者情報が開示されることがあります。

動画ファイルをビットトレントでダウンロードすると、同時にファイルの一部をアップロードすることになります。

著作物をインターネット等を通じて公衆に対して送信する権利（公衆送信権）を有しているのは基本的には著作権者だけです。よって、動画ファイルをビットトレントでダウンロードすると、他人の著作物を無断でアップロードしたことになり、著作権者の有する「公衆送信権」を侵害します。

また、動画作品の出演者には「パブリシティ権」が認められており、動画ファイルを公衆送信すると、出演者の「パブリシティ権」も侵害することになります。

いいえ。違法アップロードの後で著作物を購入しても、著作権侵害の成否には特に影響しません。

著作権侵害は民事上の制裁、例えば、差止請求、損害賠償請求の対象となります。

また、個人が著作権を侵害した場合、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、またはその両方といった刑事罰の対象になります。

裁判例が乏しいため、はっきりとした損害賠償額の算定方法が実務上確立されているわけではありません。しかし、（ファイルのダウンロード数）×（コンテンツの販売で通常得られる利益額）、がひとつの目安となります。

裁判例は少ないですが、知高判令和4年4月20日・ 令和3(ネ)10074　債務不存在確認請求控訴事件が参考になるでしょう。

裁判例では、動画ファイルの一部であってもアップロードすれば公衆送信権侵害が認められています。

ビットトレントはファイルのダウンロードの際に、「ピース」といわれる細分化されたファイルをダウンロードし、全てのピースのダウンロードが完了した際に、これらを組み合わせて完全なファイルを完成させます。

裁判例では、動画ファイルの一部であってもアップロードすれば著作権侵害が認められています。ダウンロードの途中であっても、動画ファイルのピースは順次アップロードされますので、ダウンロードを途中でやめても著作権侵害が認められることになるでしょう。

動画ファイルのダウンロードをした時点でファイルのピースをアップロードすることになりますので、著作者の公衆送信権を侵害することになります。ダウンロード後にファイルを削除したか否かは、公衆送信権侵害の成否には影響しません。

著作権者は、著作物が違法アップロードされ、違法にダウンロードされると損害を被ります。違法ダウンロードをした人が利益を得たかどうかは、著作権者の被った損害とほとんど関係ありませんので、損害賠償額にもほとんど影響しません。

ビットトレントを使用してファイルをダウンロードするとその一部が自動的にアップロードされ、著作権者の公衆送信権を侵害します。公衆送信権侵害は私的な行為であっても著作権侵害となります。

和解金の金額は著作権者によって異なります。おおむね３０～８０万円の範囲内です。

詳細は弁護士にお尋ねください。

著作権者によって異なります。

ほとんどの著作権者は、交渉による減額には一切応じず、和解金の金額を一律にしています。そのような和解金の減額を認めない著作権者の場合、当事務所としても和解金減額交渉を承ることができない場合があります。

事案によって異なりますが、当事務所の過去の実績では、最短で1週間程度です。

著作権者によりますが、5～15回程度の分割支払いが可能な場合が多いです。

詳細は弁護士にお尋ねください。

和解契約書に、著作権者が刑事罰を求めない旨の条項を入れることが可能です。

和解契約は代理人名義で締結しますので、捺印や署名をお願いすることはありません。

当事務所の弁護士が和解契約書を作成します。

当事務所を経由せず、和解契約書に記載されている著作権者の代理人弁護士の銀行口座に振込む方法によって送金していただきます。

著作権者には、発信者情報開示請求の段階で発信者と和解済みなのかどうかはわかりませんので、和解をしている、していないにかかわらず、発信者情報開示請求をされてしまいます。

和解が同一の著作権者の著作物全てを対象とするものである場合は、和解の効力はその著作権者の著作物全てに及びますので、和解の日より前のアップロード行為について損害賠償責任を負うことはありません。

しかし、和解が単一の著作物のみを対象とするものである場合は、和解の対象となっていない著作物について損害賠償等を請求されることはあり得ます。また、複数のファイルをダウンロードして著作権者が複数にわたるような場合は、和解をしていない著作権者より損害賠償等の請求がされることもあり得ます。

問題なくご依頼いただけます。

東京以外にお住まいの多くの方が、当事務所にご依頼いただいています。

当事務所への報酬は、着手時に着手金が15万円、和解契約を締結したときに成功報酬金が15万円です。これ以外に、当事務所や弁護士等にお支払いいただく費用はありません。なお、書類を送付していただいたりお電話をいただく場合の通信費等の実費をご負担いただくことがあります。

上記の費用以外に、和解金をご用意いただく必要があります。

弁護士が受任した後は、相手方からの書類は弁護士に送付されます。

秘密裏に解決することを特にご希望される場合は、弁護士からの書類などをご自宅に送らず、メール等ですべて完結させることも可能ですので、その旨お申し付けください。

ただし、そのような場合であっても、委任状への捺印は必要となってきます。メール等でお送りする委任状のpdfファイルをコンビニエンスストア等でプリントアウトしていただき、ご捺印の上、当事務所までお送りください。スキャンしたpdfファイルをお送りいただいても結構です。

弁護士は法律上の厳格な守秘義務を負っていますので、依頼人の秘密を漏洩することは決してありません。

また、和解契約書には秘密保持条項が設定されていることがほとんどですので、相手方（著作権者）も、あなたの秘密を漏洩することはできません。

弁護士費用や依頼の条件を明確にするため、弁護士と委任契約を締結していただきます。委任契約を締結せずに受任をすることはありません。

インターネットプロバイダーに対する回答書の作成と提出、著作権者に対する和解交渉、和解契約書の作成と締結が、委任契約に含まれます。

問題ありません。

電子契約に対応しています。

着手金（15万円、税込み）は着手時に、成功報酬金（15万円、税込み）は和解契約の締結時に請求書をお送りします。

問題ありません。インターネットプロバイダーに対し期限延長を要請した上で対応します。